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企画展の作品解説を公開しています!!

公開中止になった「春季企画展 対聯飾り おもてなしの言葉 」の展示作品は、書と絵画の組み合わせで、祝いや喜びの心を表現―伝えようと―しています。
制作された意図とは別に、あるいはその心をより具体的に伝える方法として、書と絵画を組み合わせて、より豊かな表現を演出しました。
祝いや喜びを伝える―もてなしの表現を、お楽しみください。

 

まずは、華世奎の「楷書八言対聯」と蓮渓の「榴開見子図」を動画でお楽しみください。

華世奎と蓮渓

 

展示作品
呉昌碩の篆書対聯に、彼の芸友 兪原「山水人物図」を取り合わせました。書は「瓦当文は延年益寿 銅盤銘は富貴吉祥」為書きに「四百莊主人の新居落成の為に 戊午(1918年)の春、呉昌碩75歳の時」とあります。
つまり、友人か知り合い?或いは誰かに頼まれたのか「四百莊主人」という人が、新居建てたお祝いにめでたい言葉を贈ったのです。
瓦当(がとう)とは屋根瓦の軒先に出た丸い部分で「当」は、旧字体で「當」と書き、「底」という意味があります。中国戦国時代の書物『韓非子』に「玉巵當無し」とあり、宝玉で造られた巵(さかずき)といえども底が無ければ用をなさない。という話です。瓦当の名称は、瓦を立てた時に底にあたるとか、建物の棟が瓦の先とすると一番底になる、窯で焼く際に立てて並べるからなどから、瓦の底「瓦当」といわれます。
呉昌碩の「瓦」は蛇が塒(とぐろ)を巻いたようにも見えますが、丸瓦と平瓦を交互に並べた様子を立てた形です。
二聯目の上二文字は「銅盤」。これは古代の青銅器を指しています。すなわち、いずれも殷周時代の古くから伝わる、文字や銘文は、寿命を伸ばし益を授け、富や喜び事を持ってくる。と祝う言葉を、古代から営々と用いられる篆書体で揮毫し、新築の家と家主の幸福が続くよう賀ぐ作品なのです。

間に挟んだ絵は、書の贈答先とは無縁ですが、呉昌碩とは詩の応酬をした親友の作品で、あたかも新築の家を訪れたような場面なので、取り合わせました。絵の賛は呉昌碩の弟子の趙雲壑(ちょううんがく)の書、というのも縁を感じます。

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