本日、土曜講座「臨書作品の見方/考え方」を実施いたしました。ご来館・ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。
本講座では、現在開催中の春季企画展「みて、うつす。―中国近代の臨書作品―」で展示している高邕(1850~1921)の《行書臨王羲之蘭亭序軸》を取り上げ、「臨書作品の見方/考え方」について考察を行いました。
まず、高邕の《行書臨王羲之蘭亭序軸》に書かれている文言の内容を確認した上で、手本とした王羲之(303?~361?)の《蘭亭序》について解説しました。
次に、高邕の臨書作品と《蘭亭序》を比較し、紙面における文字の配置構成/字形/線質の観点から分析を行い、高邕の臨書作品は肉筆でありながら、まるで石に刻されたような硬さを感じさせる線質であることを指摘しました。
最後に、高邕がどのような書法学習を行ってきたのかを確認してから、他の臨書作品と比較し、《行書臨王羲之蘭亭序軸》に見られた線質が、李邕(678~747)の書を臨書した作品にも共通して表れていることを指摘しました。
以上のことから、《行書臨王羲之蘭亭序軸》に見られる表現は、高邕があらゆる書法を学んだ結果として生じてきたものだと考えられます。本講座が、臨書作品をご覧いただく際の一助となれば幸いです。
春季企画展「みて、うつす。―中国近代の臨書作品―」は2023年6月11日(日)まで開催しております。皆様のご来館をお待ちしております。
▼次回の土曜講座(夏季企画展の関連講座です)
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