本作は、後漢時代・延熹7年(164)に建てられた石碑《封龍山頌》を臨書したものです。その書風は力強く、《礼器碑》や《曹全碑》などの著名な隷書碑と並ぶと評されます。
汪洵(?~1915?)による臨書作品を見ると、水平/垂直の線を基調とした、安定感を持つ字形となっています。また、横画には「波磔」と呼ばれる、波打つようなハライが見られます。これは、後漢時代の隷書体に見られる特徴の1つです。
一見して強烈な安定感に目を奪われる作品ですが、よく見ると、線からは独特の「動き」が感じられます。
例えば、ハライの末端などにはカスレが生じており、墨の少なくなった筆先が紙面を動いた様子を表しています。また、紙面全体を眺めてみると、線が太い字や細い字が入り混じっていることが分かります。
さらに近づいてみると、一文字の中にも太い点画と細い点画が入り混じっています。文字の配置や字形は安定感を保ちつつ、動きのある線質を用いている点が、本作の見どころです。
作者の汪洵(?~1915?)は清時代末期の官僚です。晩年は上海で書画家として活躍しました。
作品名 | 隷書臨封龍山頌軸 |
ふりがな | れいしょりんほうりゅうざんしょうじく |
作者 | 汪洵 |
国名 | 中国 |
制作年 | 清末~民国 |
寸法 | 184.5×47.8cm |
目録番号 | 4A-0688 |
本作は、後漢時代・延熹7年(164)に建てられた石碑《封龍山頌》を臨書したものです。その書風は力強く、《礼器碑》や《曹全碑》などの著名な隷書碑と並ぶと評されます。
汪洵(?~1915?)による臨書作品を見ると、水平/垂直の線を基調とした、安定感を持つ字形となっています。また、横画には「波磔」と呼ばれる、波打つようなハライが見られます。これは、後漢時代の隷書体に見られる特徴の1つです。
一見して強烈な安定感に目を奪われる作品ですが、よく見ると、線からは独特の「動き」が感じられます。
例えば、ハライの末端などにはカスレが生じており、墨の少なくなった筆先が紙面を動いた様子を表しています。また、紙面全体を眺めてみると、線が太い字や細い字が入り混じっていることが分かります。
さらに近づいてみると、一文字の中にも太い点画と細い点画が入り混じっています。文字の配置や字形は安定感を保ちつつ、動きのある線質を用いている点が、本作の見どころです。
作者の汪洵(?~1915?)は清時代末期の官僚です。晩年は上海で書画家として活躍しました。