中国の絵画には山水画、花鳥画などの様々なジャンルがあります。動物を描いた走獣画や、歴史上の人物や美しい女性を描いた人物画もあります。今回ご紹介する「帰牧図」は山水画の一部として描かれることがありますが、童子が大きな水牛の背に揺られて家路についている画題です。
多くの場合、帰牧図には目的地である家は描かれていません。夕暮れを表現する色もつかわれていません。それはこの画題が、単に田舎の日常風景を描いたものではなく、一日の仕事を終えて無事に家路につくことができることへの喜びと、感謝の気持ちを表現する画題だからです。
絵が描かれたときは、紙は扇子に貼られていましたが、現在は剥がして掛軸になっています。絵の横線が波打つように太細が表れ、途切れて見えるのはそのためです。水牛の鼻先から尻尾の先までは4.5cm。童子の大きさはわずか8mmです。こんなに小さな絵の部分に、川底をしっかり踏みして歩く水牛と、牛に身を任せて揺られる童子が繊細に描かれています。
これを描いた奚岡(1746~1803)は清朝中期の篆刻家です。子供の時には八分書を書き、長じて行草書で名声を得て、絵画も巧みでした。篆刻は丁敬(1695~1765)に直接師事し、自由で清らかな作風で知られています。西泠四家に数えられます。号は鉄生・鶴渚生・蒙泉外史などを用いました。浙江銭塘の人です。(漢字部 資料紹介 2017年7月号)
作品名 | 清渓帰牧図扇面 |
ふりがな | せいけいきぼくずせんめん |
作者 | 奚岡 |
国名 | 中国 |
制作年 | 清時代中期 |
寸法 | 17.5×50.1cm |
目録番号 | 4a-0482-1 |
釈文 | 清渓帰 牧図奉 石泉〓学兄 教正 蒙泉 外史 奚岡 |
中国の絵画には山水画、花鳥画などの様々なジャンルがあります。動物を描いた走獣画や、歴史上の人物や美しい女性を描いた人物画もあります。今回ご紹介する「帰牧図」は山水画の一部として描かれることがありますが、童子が大きな水牛の背に揺られて家路についている画題です。
多くの場合、帰牧図には目的地である家は描かれていません。夕暮れを表現する色もつかわれていません。それはこの画題が、単に田舎の日常風景を描いたものではなく、一日の仕事を終えて無事に家路につくことができることへの喜びと、感謝の気持ちを表現する画題だからです。
絵が描かれたときは、紙は扇子に貼られていましたが、現在は剥がして掛軸になっています。絵の横線が波打つように太細が表れ、途切れて見えるのはそのためです。水牛の鼻先から尻尾の先までは4.5cm。童子の大きさはわずか8mmです。こんなに小さな絵の部分に、川底をしっかり踏みして歩く水牛と、牛に身を任せて揺られる童子が繊細に描かれています。
これを描いた奚岡(1746~1803)は清朝中期の篆刻家です。子供の時には八分書を書き、長じて行草書で名声を得て、絵画も巧みでした。篆刻は丁敬(1695~1765)に直接師事し、自由で清らかな作風で知られています。西泠四家に数えられます。号は鉄生・鶴渚生・蒙泉外史などを用いました。浙江銭塘の人です。(漢字部 資料紹介 2017年7月号)