行書臨王羲之蘭亭序軸

ぎょうしょりんおうぎしらんていじょじく
     

本作は、王羲之(303?~361?)の《蘭亭序》を臨書したものです。

《蘭亭序》は、永和9年(353)、蘭亭(浙江省紹興市)で宴が行われ、集まった人々が詩を作った際に、それらをまとめた詩集に付されるために書かれた序文の草稿(下書き)です。

王羲之が序文を書くこととなり、酒に酔いながら、興に乗じて筆をとり書きあげました。後日、清書しようと試みましたが、宴の時に書いたものを越えることが出来なかったため、草稿をそのまま序文として用いたと言われます。

この時書かれた《蘭亭序》原本は失われたとされますが、多くの複製が作られ、その姿を伝えてきました。初唐の欧陽詢(557~641)が臨書したものを元に作られた「定武本」や、原本の上に紙をのせて敷き写された「神龍半印本」などが有名です。

高邕による臨書作品を見ると、非常に硬く、直線的な線質を用いて臨書しています。

高邕が《蘭亭序》を臨書した時、彼がどのような拓本を見ていたのかは分かりません。ですが、本作に見られる直線的で非常に硬い線質は、「定武本」や「神龍半印本」などの《蘭亭序》の線とは少し異なるように思われます。

ここに表れた線質は、《蘭亭序》よりも、高邕が好んだ李邕(678~747)の書と共通するものです。

李邕は唐時代に生きた人物で、《李思訓碑》や《麓山寺碑》などの行書碑を書いたことで有名です。高邕はこの李邕の書を好み、書法学習の対象としていました。本作に見られる線質は、高邕が長年にわたり学んでいた李邕の書風が表れているものと言えるでしょう。

作者の高邕は上海で活躍した書画家です。呉昌碩(1844~1927)や汪洵(?~1915)などと共に活躍しました。

                                               
作品名行書臨王羲之蘭亭序軸
ふりがなぎょうしょりんおうぎしらんていじょじく
作者高邕
国名中国
制作年清末~民国
寸法148.1×39.6cm
目録番号4A-3769
釈文是日也天朗気清恵風和暢仰観 宇宙之大俯察品類之盛所〔以〕遊目騁 懐足以極視聴之娯信可楽也 高邕邕之

本作は、王羲之(303?~361?)の《蘭亭序》を臨書したものです。

《蘭亭序》は、永和9年(353)、蘭亭(浙江省紹興市)で宴が行われ、集まった人々が詩を作った際に、それらをまとめた詩集に付されるために書かれた序文の草稿(下書き)です。

王羲之が序文を書くこととなり、酒に酔いながら、興に乗じて筆をとり書きあげました。後日、清書しようと試みましたが、宴の時に書いたものを越えることが出来なかったため、草稿をそのまま序文として用いたと言われます。

この時書かれた《蘭亭序》原本は失われたとされますが、多くの複製が作られ、その姿を伝えてきました。初唐の欧陽詢(557~641)が臨書したものを元に作られた「定武本」や、原本の上に紙をのせて敷き写された「神龍半印本」などが有名です。

高邕による臨書作品を見ると、非常に硬く、直線的な線質を用いて臨書しています。

高邕が《蘭亭序》を臨書した時、彼がどのような拓本を見ていたのかは分かりません。ですが、本作に見られる直線的で非常に硬い線質は、「定武本」や「神龍半印本」などの《蘭亭序》の線とは少し異なるように思われます。

ここに表れた線質は、《蘭亭序》よりも、高邕が好んだ李邕(678~747)の書と共通するものです。

李邕は唐時代に生きた人物で、《李思訓碑》や《麓山寺碑》などの行書碑を書いたことで有名です。高邕はこの李邕の書を好み、書法学習の対象としていました。本作に見られる線質は、高邕が長年にわたり学んでいた李邕の書風が表れているものと言えるでしょう。

作者の高邕は上海で活躍した書画家です。呉昌碩(1844~1927)や汪洵(?~1915)などと共に活躍しました。

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