本作は王珣(349~400)の尺牘《伯遠帖》を臨書したものです。
《伯遠帖》は清時代に宮廷が所蔵するようになり、乾隆帝(1711~1799)によって「三希」の1つとして珍蔵されました。
「三希」とは、乾隆帝が愛蔵した東晋時代(4世紀)の書3点のことです。
1つめは、書聖として名高い王羲之(303?~361?)の《快雪時晴帖》です。2つめは、王羲之の子・王献之(344~388)の《中秋帖》です。そして3つめが、本作の臨書対象となっている、王珣の《伯遠帖》です。
李健(1881~1956)による臨書作品を見ると、1行目2~3字目「頓首」は連綿線によって繋がれています。これは手本とした原本《伯遠帖》にも見られる連綿線です。
また、1行目7字目「遠」のしんにょう2画目が右側に大きく屈曲する形や、2行目5字目「志」などの点画同士をつなぐ連綿線なども、原本《伯遠帖》とそっくりです。
これらのことから、手本に忠実な臨書を目指していることが分かります。
本作の魅力は、手本とそっくりな字形を再現しつつも、伸びやかな線質が失われていないところです。
慎重に、そっくりに文字を写そうとすれば、それだけ筆の動きが遅くなり、線には「硬さ」や「ぎこちなさ」が伴います。しかし本作には、そのような線はありません。
本作は、手本とした作品が持つ躍動感を見事に写し取っていると言えるでしょう。
作者の李健はあらゆる書体を得意としたと伝わる人物です。彼は、中華民国初期の上海で活躍した書家・李瑞清(1867~1920)の甥にあたります。
作品名 | 行書臨王珣伯遠帖軸 |
ふりがな | ぎょうしょりんおうじゅんはくえんじょうじく |
作者 | 李健 |
国名 | 中国 |
制作年 | 中華民国 |
寸法 | 109.4×31.8cm |
目録番号 | 4A-2763 |
本作は王珣(349~400)の尺牘《伯遠帖》を臨書したものです。
《伯遠帖》は清時代に宮廷が所蔵するようになり、乾隆帝(1711~1799)によって「三希」の1つとして珍蔵されました。
「三希」とは、乾隆帝が愛蔵した東晋時代(4世紀)の書3点のことです。
1つめは、書聖として名高い王羲之(303?~361?)の《快雪時晴帖》です。2つめは、王羲之の子・王献之(344~388)の《中秋帖》です。そして3つめが、本作の臨書対象となっている、王珣の《伯遠帖》です。
李健(1881~1956)による臨書作品を見ると、1行目2~3字目「頓首」は連綿線によって繋がれています。これは手本とした原本《伯遠帖》にも見られる連綿線です。
また、1行目7字目「遠」のしんにょう2画目が右側に大きく屈曲する形や、2行目5字目「志」などの点画同士をつなぐ連綿線なども、原本《伯遠帖》とそっくりです。
これらのことから、手本に忠実な臨書を目指していることが分かります。
本作の魅力は、手本とそっくりな字形を再現しつつも、伸びやかな線質が失われていないところです。
慎重に、そっくりに文字を写そうとすれば、それだけ筆の動きが遅くなり、線には「硬さ」や「ぎこちなさ」が伴います。しかし本作には、そのような線はありません。
本作は、手本とした作品が持つ躍動感を見事に写し取っていると言えるでしょう。
作者の李健はあらゆる書体を得意としたと伝わる人物です。彼は、中華民国初期の上海で活躍した書家・李瑞清(1867~1920)の甥にあたります。