本作は、全盛期近くに散見される、強い打ち込みによる起筆の萌芽が感じられる行書作品。一貫して蔵鋒による丸く太い起筆を用いるが、その後の筆線には潤渇・肥痩の変化がつけられており、平板な表現となることを避けようとしている。全体的に左下に流れるような結体となっているのは、独自の運筆法である「懸臂回腕(肘を高く水平に張り、手を内側に抱えるようにする)」の影響によるものと思われる。60歳以降に集中して学ばれた隷書の影響がまだ顕著ではないことと、署款の風格から、50代半ば頃の作品と考えられる。
作品名 | 行書七言対聯 |
ふりがな | ぎょうしょしちごんついれん |
作者 | 何紹基 |
国名 | 中国 |
制作年 | 清時代後期 咸豊年間(1850年代)頃 |
寸法 | 各136.5×32.3cm |
目録番号 | 4A-0391 |
釈文 | 李荘観察属 閑聴秋風移竹母 静眠涼月枕桐孫 子貞何紹基 |
本作は、全盛期近くに散見される、強い打ち込みによる起筆の萌芽が感じられる行書作品。一貫して蔵鋒による丸く太い起筆を用いるが、その後の筆線には潤渇・肥痩の変化がつけられており、平板な表現となることを避けようとしている。全体的に左下に流れるような結体となっているのは、独自の運筆法である「懸臂回腕(肘を高く水平に張り、手を内側に抱えるようにする)」の影響によるものと思われる。60歳以降に集中して学ばれた隷書の影響がまだ顕著ではないことと、署款の風格から、50代半ば頃の作品と考えられる。