陶製獣脚円面硯

とうせいじゅうきゃくえんめんけん
     

古玩文具の魅力④
硯の歴史は古く、その原型と考えられる石板状の墨磨り具が出現したのは、中国・漢時代頃と考えられ、魏晋南北朝時代に、普及していきます。そして同じ頃、今回ご紹介するような陶製の硯が現れ、唐時代に全盛を迎えます。観峰館が所蔵する陶硯は、いずれも5本の獣脚で支えられています。器面には釉薬が施されており、長い年月を経たにも関わらず完形を保っています。

墨を磨る「陸」部分は水平で、周囲に墨を溜める「海」部分が窪んでいます。硯に脚があることに違和感を持たれるかもしれませんが、これは、石板状の硯が使用された際に、安定感を得るために脚部が付けられた名残と考えられます。文字を書くための「工夫」が、この獣脚を通して見られる訳です。
この陶硯が実際に使用されていたかは不詳ですが、その形状や使用痕が見られないことから、墳墓などへの副葬品であったと考えられます。一般的に、宋時代にお馴染みの端渓硯などの製硯技術が進歩していくと、陶硯は次第に衰退していきますので、硯の歴史を語る上で貴重な資料といえるでしょう。
(教師月報 2018年7月号)

                                           
作品名陶製獣脚円面硯
ふりがなとうせいじゅうきゃくえんめんけん
作者不詳
国名中国
制作年南北朝時代 梁
寸法外堤径12.6×器高4.0cm
目録番号97-0030

古玩文具の魅力④
硯の歴史は古く、その原型と考えられる石板状の墨磨り具が出現したのは、中国・漢時代頃と考えられ、魏晋南北朝時代に、普及していきます。そして同じ頃、今回ご紹介するような陶製の硯が現れ、唐時代に全盛を迎えます。観峰館が所蔵する陶硯は、いずれも5本の獣脚で支えられています。器面には釉薬が施されており、長い年月を経たにも関わらず完形を保っています。

墨を磨る「陸」部分は水平で、周囲に墨を溜める「海」部分が窪んでいます。硯に脚があることに違和感を持たれるかもしれませんが、これは、石板状の硯が使用された際に、安定感を得るために脚部が付けられた名残と考えられます。文字を書くための「工夫」が、この獣脚を通して見られる訳です。
この陶硯が実際に使用されていたかは不詳ですが、その形状や使用痕が見られないことから、墳墓などへの副葬品であったと考えられます。一般的に、宋時代にお馴染みの端渓硯などの製硯技術が進歩していくと、陶硯は次第に衰退していきますので、硯の歴史を語る上で貴重な資料といえるでしょう。
(教師月報 2018年7月号)

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