預兆年豊図

よちょうねんほうず
     

本作は、松の大樹の下で、子どもたちが雪を集めて雪像を作る様子と、それを見守る老人が描かれています。作品名の「預兆年豊」は「瑞雪豊年(ずいせつほうねん)」ともいいます。中国では、時節通りに降る雪は、豊年の前兆とされています。というのも、雪の寒さが害虫を退治し、雪解けにより水が豊富になることから、その年は豊作になりやすかったのです。
雪像は、私たちがイメージする雪だるまではなく、大きな犬?のような像ですね。これは、雪の「獅子」像で、こちらも雪解けの豊穣を祈るために作られたとされます。門前に作られることも多く、家を守る意味も込められていたのでしょう。もちろん、中国でも雪だるまは作られますが、その姿は「達磨」ではなく「羅漢」像を模(かたど)ったものでした。
作者の沈心海(1855~1941)は、名を兆涵(ちょうかん)といい、江蘇省崇明の出身です。清朝後期の著名画家である銭慧安(1833~1911)の弟子で、絵画は花卉、山水、人物画に優れており、特に美人画を得意としました。本作は、款記の末尾に、66歳の時に描いたとありますが、亡くなる90歳近くまで多くの作品を描いており、観峰館にも38点の作品が所蔵されています。
それにしても、見事な雪の獅子像ですね。作者の画力も然ることながら、画中の雪獅子を作る子どもたちの「絵心」にも驚かされる作品です。(かな部 資料紹介 2017年2月号)

                                               
作品名預兆年豊図
ふりがなよちょうねんほうず
作者沈心海
国名中国
制作年民国10年(1921)
寸法151.0×40.4cm
目録番号4b-0363
釈文預兆年豊 辛酉冬月仿新羅山人筆 心海沈兆涵 時年六十有六

本作は、松の大樹の下で、子どもたちが雪を集めて雪像を作る様子と、それを見守る老人が描かれています。作品名の「預兆年豊」は「瑞雪豊年(ずいせつほうねん)」ともいいます。中国では、時節通りに降る雪は、豊年の前兆とされています。というのも、雪の寒さが害虫を退治し、雪解けにより水が豊富になることから、その年は豊作になりやすかったのです。
雪像は、私たちがイメージする雪だるまではなく、大きな犬?のような像ですね。これは、雪の「獅子」像で、こちらも雪解けの豊穣を祈るために作られたとされます。門前に作られることも多く、家を守る意味も込められていたのでしょう。もちろん、中国でも雪だるまは作られますが、その姿は「達磨」ではなく「羅漢」像を模(かたど)ったものでした。
作者の沈心海(1855~1941)は、名を兆涵(ちょうかん)といい、江蘇省崇明の出身です。清朝後期の著名画家である銭慧安(1833~1911)の弟子で、絵画は花卉、山水、人物画に優れており、特に美人画を得意としました。本作は、款記の末尾に、66歳の時に描いたとありますが、亡くなる90歳近くまで多くの作品を描いており、観峰館にも38点の作品が所蔵されています。
それにしても、見事な雪の獅子像ですね。作者の画力も然ることながら、画中の雪獅子を作る子どもたちの「絵心」にも驚かされる作品です。(かな部 資料紹介 2017年2月号)

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