頭書絵註 実語教童子教註抄

とうしょえちゅう じつごきょうどうじきょうちゅうしょう
     

実語教とは、平安時代末期から江戸時代にかけて出版され、ベストセラーとなった児童教訓書である 。古い書物の中から教訓となる五言・九十六句を選び取り、寺子屋などの教科書として使用された。「山高故不貴(山高きが故に貴からず) 」に始まり、生きるうえでの知恵、学問、道徳などについての教えを説き、「是学問之始、身終勿忘失(これ学問の始め、身終るまで忘失するなかれ)」で終る。明治以降の近代日本の教育においても、この内容・精神が受け継がれ、大きな影響を与えた。
「実語教」は、『図書寮本類聚名義抄』(康和4年・1103年迄に成立)にその名が見え、それ以前に成立したものである。また、江戸時代の版本には、その書名が仏教の経典に因むもので、大般若経や法華経に「実語」という語句が見える。金剛経や涅槃経には、「真語」と同じ意味の言葉とされており、そのことから「実語」は「真」を語るという意味となり、「実語」を習い教える書物を「実語教」と称するようになった、とある。そして、伝承に拠ると、弘法大師こと空海の著作とされる。
観峰館では、令和元年(2019)に夏季平常展示「知っておきたい実語教」を開催した。当館所蔵本については、下記PDFをご参照いただきたい。

実語教 冒頭部分

溝江小笠斎 落款部分

 

 

 

 

 

 

 

 

観峰館所蔵 実語教童子教一覧

【参考文献】
酒井憲二『実語教童子教ー研究と影引ー』(三省堂、1999年)

                                           
作品名頭書絵註 実語教童子教註抄
ふりがなとうしょえちゅう じつごきょうどうじきょうちゅうしょう
作者溝江小笠斎/書
国名日本
制作年安政5年(1858)再板
寸法24.3×17.2cm
目録番号寺往‐120

実語教とは、平安時代末期から江戸時代にかけて出版され、ベストセラーとなった児童教訓書である 。古い書物の中から教訓となる五言・九十六句を選び取り、寺子屋などの教科書として使用された。「山高故不貴(山高きが故に貴からず) 」に始まり、生きるうえでの知恵、学問、道徳などについての教えを説き、「是学問之始、身終勿忘失(これ学問の始め、身終るまで忘失するなかれ)」で終る。明治以降の近代日本の教育においても、この内容・精神が受け継がれ、大きな影響を与えた。
「実語教」は、『図書寮本類聚名義抄』(康和4年・1103年迄に成立)にその名が見え、それ以前に成立したものである。また、江戸時代の版本には、その書名が仏教の経典に因むもので、大般若経や法華経に「実語」という語句が見える。金剛経や涅槃経には、「真語」と同じ意味の言葉とされており、そのことから「実語」は「真」を語るという意味となり、「実語」を習い教える書物を「実語教」と称するようになった、とある。そして、伝承に拠ると、弘法大師こと空海の著作とされる。
観峰館では、令和元年(2019)に夏季平常展示「知っておきたい実語教」を開催した。当館所蔵本については、下記PDFをご参照いただきたい。

実語教 冒頭部分

溝江小笠斎 落款部分

 

 

 

 

 

 

 

 

観峰館所蔵 実語教童子教一覧

【参考文献】
酒井憲二『実語教童子教ー研究と影引ー』(三省堂、1999年)

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