麻姑図

マコズ
     

麻姑(まこ)は、中国の書物『神仙伝』に記される仙人である。この書物には、麻姑が十八歳の美しい女性で、髪を頭頂部で結い、錦の美しい衣を身に着け、目は輝きを放ち、爪は鳥の爪のように長い、とある。

『神仙伝』には他にも、麻姑の爪が長いので、その爪で背中を掻くと気持ちが良いだろう、と考える男の話がある。これに基づいた「麻姑掻痒(まこそうよう)」という故事は、麻姑の長い爪が痒い所にまで手が届くことから、転じて、物事がうまくいく、という意味である。爪が付いた杖もまた、麻姑の爪を象徴したもので、ここから、「麻姑の手」が「孫の手」となった俗説も生まれた。

また麻姑は、不老不死の仙女として有名な西王母の誕生祝いに美酒を贈ったという伝説から、長寿の象徴でもあった。作中の麻姑の側にある壷は、贈り物の酒壷を示しており、腰にぶらさげた瓢箪も、酒の象徴として描かれている。

物事が順調に進みかつ長生きできる、人びとの希望を詰め込んだ麻姑の絵画は、その神秘性も加わって、多くの画家に描かれている。

なお、印影に「之葊」「日長之印」とあるが、作者は不詳である。

                                           
作品名麻姑図
ふりがなマコズ
作者不詳
国名中国
制作年清時代後期~中華民国時代
寸法128.3×65.3cm
目録番号4g-0098

麻姑(まこ)は、中国の書物『神仙伝』に記される仙人である。この書物には、麻姑が十八歳の美しい女性で、髪を頭頂部で結い、錦の美しい衣を身に着け、目は輝きを放ち、爪は鳥の爪のように長い、とある。

『神仙伝』には他にも、麻姑の爪が長いので、その爪で背中を掻くと気持ちが良いだろう、と考える男の話がある。これに基づいた「麻姑掻痒(まこそうよう)」という故事は、麻姑の長い爪が痒い所にまで手が届くことから、転じて、物事がうまくいく、という意味である。爪が付いた杖もまた、麻姑の爪を象徴したもので、ここから、「麻姑の手」が「孫の手」となった俗説も生まれた。

また麻姑は、不老不死の仙女として有名な西王母の誕生祝いに美酒を贈ったという伝説から、長寿の象徴でもあった。作中の麻姑の側にある壷は、贈り物の酒壷を示しており、腰にぶらさげた瓢箪も、酒の象徴として描かれている。

物事が順調に進みかつ長生きできる、人びとの希望を詰め込んだ麻姑の絵画は、その神秘性も加わって、多くの画家に描かれている。

なお、印影に「之葊」「日長之印」とあるが、作者は不詳である。

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