本館 4階・5階展示室
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史実と伝承―学制公布150年記念展―|なんだか、かわいい、中国絵画。
史実(しじつ)と伝承(でんしょう)―学制公布150年記念展―
【展覧会概要】
当館は、明治から昭和前期まで、およそ6,000冊の教科書コレクションを所蔵しています。令和4年(2022)は、学校教育の基本制度である「学制」が公布されて150年の節目にあたります。そこで当館では、それを記念する展覧会を開催することとなりました。
歴史上の事実(史実)と、その土地土地で受け継がれてきた事柄(伝承)は、時として異なる場合があります。伝承から生まれる「歴史」があることも事実ですが、史実に基づかなくては、「真」の歴史を学ぶことができません。しかし、時に伝承が史実として認識されることがあります。その認識には、「教育」が大きく影響を及ぼし、時に誤った事実を史実として助長することさえあります。その間違いがなぜ起こったのか、そして正しい事実とは何か、本展はそのことを考える試みです。
展覧会では、江戸時代の歴史書と、学制公布以後の教科書、錦絵等を展示します。教科書を深読みする「マニアック」な視点もあわせて、お楽しみください。
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令和4年(2022)度観峰館秋季平常展示「史実と伝承―学制公布150年記念展―」展示作品リスト(2.78MB)
令和4年(2022)度観峰館秋季平常展示「史実と伝承―学制公布150年記念展―」展示パンフレット(4.02MB)
【会場】
本館4階展示室
【主な展示作品】
1、学制前夜/歴史教科書の中の聖徳太子
聖徳太子こと厩戸皇子(574~622)は、日本古代史上、最も著名な人物のひとりです。現在もなお、人びとに親しみをもたれているこの皇子は、学制公布期の歴史教科書の中で、その事績について多く言及されてきました。
しかしながら江戸時代に遡ると、仏教興隆の立役者として、仏教関係の書物の中で高く評価されつつも、こと歴史書になると、太子への批判が見られます。「国史略」や「日本政記」のような歴史書には、蘇我馬子との関係について、崇峻天皇暗殺事件の際の太子の対応に対し、批判がされています。
その批判を継承した教科書もいくつか出版されましたが、明治二十年代になると、なぜか崇峻天皇に拘る記述が省略され、その中心は推古天皇即位後、厩戸皇子が皇太子となって以降の「史実」の抽出に特化されていきます。そして、幼時からの聡明ぶりなどを取り上げた記述が増えていき、「聖徳太子」という章立ての出現とともに、太子を美化する内容が人びとに享受されるようになりました。
その転換の理由については、定かではありませんが、帝国憲法発布、教育勅語制定といった、皇室への忠義を助長する「動き」が影響を与えていることは否めないでしょう。
2、国語教科書の中の藤原道長
藤原道長(966~1027)といえば、「源氏物語」の主人公・光源氏のモデルとなった人物として知られ、平安時代中期を代表する人物です。しかし、かつて検証がなされたように、歴史教科書においては、道長の事績に対する評価は良くありません。特に、皇室への強引な外戚政策などから、批判的な記述が多く目立ちます。
そのことは、国語教科書における「栄花物語」の抜粋部分からも明らかです。明治後期から大正・昭和前期の国語教科書には、「栄花物語」の中の法成寺造営部分が引用されます。なぜこの法成寺造営が取り上げられるかといえば、宮中や役所から材木や礎石を強奪した行為が「専横非道」と批判されており、道長という人物を批判するに最も有効な「史実」であるからです。
しかし、国語教科書には明確な批判の記述はなく、その教授方法は、各教師に委ねられました。 また、引用された「栄花物語」の末尾に、道長が聖徳太子の生まれ変わりという部分が残されたことは、太子尊重の高まりの中で、法成寺造営自体は、仏事という観点から、その行為が評価されていたことを示しているのかもしれません。
3、学制前夜/歴史・国語教科書の中の頼朝・鎌倉
現在、メディアで取り上げられている源氏そして鎌倉については、学制公布以後の国語・歴史教科書の中でも、必ずといっていいほど、その記述を見ることができます。
源頼朝(1147~1199)については、平家を打倒し、鎌倉を中心に国を治めた点については高く評価されています。しかし、その猜疑心から範頼・義経といった兄弟たちを処罰したことは、倫理的側面から批判の対象となりました。また、源氏が三代で途絶えたことも、その批判の正当性を助長する「史実」として受け止められています。
頼朝の評価を低くする理由の一つに、「判官びいき」という言葉の通り、義経人気があります。近年の研究では、安徳天皇を入水に追い込んだこと、三種の神器の紛失、頼朝を介さない任官など、義経の失策・倫理上の問題を指摘する学説も出てきました。しかしながら、当時の教科書では、芸術面での義経人気が、そのまま頼朝への評価に結びついていたのです。
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【お知らせ】Facebook/Instagramで秋季平常展(本館4階)の展示作品を紹介しています
▼バーチャル観峰館でも秋季展をご覧いただけます※9月17日(土)から公開いたします。
なんだか、かわいい、中国絵画。
【展覧会概要】
「中国絵画」と聞くと、水墨で山や川を描いた「山水画」を想像する方が多いようです。それは何かとても高尚なもので、きっと素晴らしいのだろうけど、正直よく分からない。分からないから、なんとなく近寄りがたい。現代日本では、そんな風に「中国絵画」を敬遠している方も多いのではないでしょうか。
けれども、現代の日本人でも親しみやすい中国絵画も実はたくさんあるのです。本展では、そのような絵画を集めてみました。今回のキーワードは「かわいい」です。小さな動物や子どもなどを描いた、なんだか「かわいい」中国絵画をお楽しみください。
本展を通して、近寄りがたいと思っていた中国絵画の世界に少しでも興味を持っていただければ幸いです。
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観峰館 令和4年(2022)年度 秋季平常展「なんだか、かわいい、中国絵画。」出品リスト(298KB)
観峰館 令和4年(2022)年度 秋季平常展「なんだか、かわいい、中国絵画。」展示パンフレット(1.09MB)
【会場】
本館5階展示室
【主な展示作品】※クリックで拡大します
1.動物の姿
小さく、まぁるく、ふわふわした動物たちは、なんとも愛らしく、かわいい姿をしています。
ここでは、中国絵画でよく描かれる鳥をはじめ、リスやウサギなどを描いた作品をご紹介します。様々な動物たちの姿をご覧ください。
2.人の営み
中国絵画に描かれた人間たちにも、「かわいい」姿を見出すことが出来ます。ここでは、子どもたちや、人が描きこまれた山水画をご紹介します。
山水を描いた画面の中では、人は小さく簡略化して描かれます。雄大な自然の前では、人の営みも「かわいい」ものなのです。
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▼バーチャル観峰館でも秋季展をご覧いただけます※9月17日(土)から公開いたします。
【同時開催】
【お得な情報】
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【次回の展覧会】
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