瓢箪硯

表面に多くの銀色の摺曲紋(すりきょくもん)がある硯で、硯式は瓢箪の形をしており、硯縁上部に蔓草と小さな瓢箪が彫られている。 裏面も同様に、無数の銀紋が弧を描くように連なっており、光の加減によって見える姿が変わる美しい硯で […]

       

蘭亭硯

書聖・王羲之(303~361)の「蘭亭序」にちなむ硯で、硯縁上部には蘭亭に居る王羲之が、墨池には二羽の鵞鳥が、それぞれ彫られている。墨池に水を注ぐことで、水辺に浮かぶ蘭亭と、鵞鳥が池を泳ぐ様子に見えるよう演出される。 ま […]

       

緑線板硯

板状の墨池のない硯のことを「硯板」といい、中国では「板硯」といわれる。上質な石質のため、削ったり彫ったりすることをせず、そのままの状態で硯として使用する。また、墨汁の膠分が固まるのを嫌い、手入れが容易であったことも、この […]

       

劉海蟾松竹硯

仙人と蛙の二組の組み合わせに、松、竹が彫られた大型の硯。墨池はなく、やや赤味を帯びた墨堂部分の鋒鋩は荒いため、装飾的要素が強い。 仙人は銭を持ち、蛙は三本足であるため、「劉海蟾(りゅうかいせん)」のモチーフを彫刻したもの […]

       

八稜岩窟蟹硯

八角形の形をした天然の硯石を岩窟に見立て、墨池部分に窟内に潜む三匹の蟹が彫られた硯。硯そのものや硯側部分の色合いは、いかにも海の底を表現しているかのようである。 八角形の形をした八稜硯の墨池は、円状のものが多いが、この硯 […]

       

天然奇紋硯

仔石硯に類するもので、光沢は乏しいが、鋒鋩はきめ細かい。墨縁と墨池の造形は、洞窟の内部のようにも見えるため、この名称が付いた。 しかし、どちらかというと、もののけたちが住む森の木霊にも見えてしまう…形状が興味深い硯である […]

       

磚硯

磚(せん)、すなわち建物に用いられる煉瓦(れんが)を再利用して硯として用いたものである。 箱書に拠ると、この磚は、中国・漢の時代に朝鮮半島に設置された楽浪郡石巌里より出土したものという。表面の網目模様は、型取りの際に用い […]

       

緑石龍鳳両面硯

緑石の端渓硯で、展示面には、右に龍、左に鳳凰を配し、周囲に雲紋が彫られている。裏面にも墨池があるため、両面ともに硯として使用できる。 硯側には道光10年(1830)の銘がある。銘文の作者は不明であるが、「陳学士」という人 […]

       

天然板硯

端渓の天然の硯で、表面は光沢を帯び、手ざわりは滑らかである。このような硯は「仔石硯(しせきけん)」と呼ばれる。仔石硯は、主に水中にあって、表面が水で削られ滑らかになった石を硯としたものである。良質な硯石のため加工をしてお […]

       

双獅子硯

やや赤味を帯びた上品な硯石で、墨池を毬に見立て、毬を中心に、2頭の獅子が彫られている。彫刻は必ずしも精緻(せいち)ではないが、墨池の形状をうまく利用した点はとても趣深い。鋒鋩のきめ細かさから、端渓硯に類するものと考えられ […]

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