新館 特別展示室
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【展覧会概要】
清朝が衰退に向かう嘉慶・道光・咸豊・同治の四代を生きた何紹基(1799~1873)は、傑出した書家として知られています。その書は、同じく激動の時期に活躍した唐の顔真卿(709~785)に学び、さらに篆隷の要素を加味したもので、とくに独特のうねりと躍動感が特徴的な行書は、今なお多くの人を惹きつけてやまないものです。
観峰館には、初期から全盛期、そして晩年まで約20件の何紹基作品を収蔵しており、ここまでまとまったコレクションは、他に例を見ません。本展では、館蔵何紹基作品を通じて、その魅力に迫ります。
観峰館2021年度夏季企画展「何紹基-清朝巨匠の書-」出品作品リスト(139KB)
【展示内容と主な展示作品】※クリックで全図を表示します。
Ⅰ 壮年期の何紹基作品
ここでは、何紹基壮年時代頃(40代から50代)の作を紹介します。何紹基は、最初に唐・顔真卿の書に学び、以後それを自身の書法の根幹としました。なかでも行書においては、「争坐位文稿」の影響が大きいとされます。何紹基の作品には、顔法の特徴である、向かい合う線が外にふくらむ向勢の結体、筆先を露出させず丸みを持たせる蔵鋒の起筆が至るところに見られますが、若書きのものは特にその傾向が顕著です。
ところが40歳以降になると、碑学派の影響を受けて北碑に関心を抱くようになります。これは「顔真卿の書は北朝に由来する」という説が、顔法を専修していた何紹基を動かしたものと思われます。そして50代頃の作品より、北魏楷書風の鋭角な起筆と引き締まった直線的な筆線の要素が見られるようになります。法帖を通して顔真卿を学ぶ帖学と、碑版を通して北魏楷書や篆隷を学ぶ碑学を融合させる「碑帖兼習」の態度の始まりといえましょう。
Ⅱ 漢隷への傾倒
ここでは、漢隷(漢代の隷書)に傾倒した何紹基60代頃の作品を紹介します。何紹基は、顔真卿を学ぶ一方で、父親より家訓として、「横平豎直(横画は水平に、縦画は垂直に)」を教えられ、生涯それを意識したとされます。しかし、そもそも顔真卿書法は、篆書・隷書に回帰して、蔵鋒・中鋒(筆の穂先が常に点画の中央を通る)による水平・垂直の書を構築したものですし、「横平竪直」の筆法も、同じく篆隷に通じるものといえます。何紹基が篆隷、なかでも漢隷の学習に打ち込むようになったのは、そのような背景があったからかも知れません。
何紹基は数え60歳より約5年間、集中して「張遷碑」などの漢隷を臨書し、隷書の筆法を身に付けました。そして、その影響は60代半ば以降の作品に顕著に表れるようになり、より表情豊かな書風に変化してゆきます。隷書の作品とともに、篆書による款記をともなう絵画の希少作もご覧ください。
Ⅲ 何紹基書法の到達点
ここでは、顔真卿・北碑・隷書といった諸書体を融合して自家薬籠中の物とした何紹基の最盛期である、60代半ば以降の作品を紹介します。何紹基独自の「懸臂回腕(肘を高く水平に張り、手を内側に抱えるようにする)」の運筆法から自在に繰り出される筆線には、顔真卿「争坐位文稿」風のもの、北朝楷書風のもの、隷意を含んだものなどさまざまな要素が含まれ、高度な技法が結集していることがわかります。
最盛期の何紹基作品には、「庚子銷夏記語四屏」のように重厚な書風のものがある一方で、年齢を重ねたことによって醸し出される枯淡な雰囲気の作品も見られるようになります。しかし、一見力みのない書きぶりでありながら、筆力はあくまで終始貫徹し、終筆の最後の最後にまで神経が行き届いているところは、清朝巨匠の面目躍如といえましょう。
Ⅳ 参考展示
本展では、何紹基一族の作品や、何紹基が学んだ書もあわせて展示いたします。
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【イベント情報】
【関連出版物】展示作品の一部が掲載されています※本企画展の図録ではありません
【メディア掲載情報】
【広報物】
チラシ2021夏季企画展「何紹基-清朝巨匠の書-」(557KB)
滋賀県東近江市の博物館・美術館 2021夏の展覧会ポスター(3.53MB)
プレスリリース 令和3年(2021)夏季企画展「何紹基-清朝巨匠の書-」(940KB)
【お得な情報】
【同時開催】
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