八稜岩窟蟹硯

八角形の形をした天然の硯石を岩窟に見立て、墨池部分に窟内に潜む三匹の蟹が彫られた硯。硯そのものや硯側部分の色合いは、いかにも海の底を表現しているかのようである。 八角形の形をした八稜硯の墨池は、円状のものが多いが、この硯 […]

       

天然奇紋硯

仔石硯に類するもので、光沢は乏しいが、鋒鋩はきめ細かい。墨縁と墨池の造形は、洞窟の内部のようにも見えるため、この名称が付いた。 しかし、どちらかというと、もののけたちが住む森の木霊にも見えてしまう…形状が興味深い硯である […]

       

紅渓石硯

紅渓石は、宮崎県東臼杵郡で産出される硯で、その色合いと、端渓硯と比べても遜色ない石質から、その名前が付いた。鋒鋩がきめ細かく、良い墨色に擦れるという。 裏面には「三代目 羊堂作」の銘があり、職人・相馬羊堂氏の作によるもの […]

       

若田石硯

若田石は、長崎県対馬市で産出されるもので、紫式部(生卒年不詳)が『源氏物語』の執筆時に愛用したという。漆黒の自然美が特徴である。江戸時代初期の儒学者・林羅山(1583~1657)が、中国の端溪硯に匹敵する出来として高く評 […]

       

龍渓石硯

龍渓石は、長野県上伊那郡で産出され、天竜川水系で取れる石材から作られているため、その名前が付いた。この作品にあるように、硯側部分が黄褐色の色合いの硯も多く、味わい深いものである。 裏面に「龍渓 翠川刀」の銘があり、職人の […]

       

磚硯

磚(せん)、すなわち建物に用いられる煉瓦(れんが)を再利用して硯として用いたものである。 箱書に拠ると、この磚は、中国・漢の時代に朝鮮半島に設置された楽浪郡石巌里より出土したものという。表面の網目模様は、型取りの際に用い […]

       

緑石龍鳳両面硯

緑石の端渓硯で、展示面には、右に龍、左に鳳凰を配し、周囲に雲紋が彫られている。裏面にも墨池があるため、両面ともに硯として使用できる。 硯側には道光10年(1830)の銘がある。銘文の作者は不明であるが、「陳学士」という人 […]

       

天然板硯

端渓の天然の硯で、表面は光沢を帯び、手ざわりは滑らかである。このような硯は「仔石硯(しせきけん)」と呼ばれる。仔石硯は、主に水中にあって、表面が水で削られ滑らかになった石を硯としたものである。良質な硯石のため加工をしてお […]

       

双獅子硯

やや赤味を帯びた上品な硯石で、墨池を毬に見立て、毬を中心に、2頭の獅子が彫られている。彫刻は必ずしも精緻(せいち)ではないが、墨池の形状をうまく利用した点はとても趣深い。鋒鋩のきめ細かさから、端渓硯に類するものと考えられ […]

       

蝙蝠雲紋硯

上部に蝙蝠と雲紋が彫られた小品の硯。上品な硯式である。箱蓋には、「知白 庚辰夏日 紫雯(?)題 辛印」とある。「知白守黒」(白きを知り、黒きを守る)(潔白を知りながら、汚れの中にいると言う態度を守り続ける)の言葉があり、 […]

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