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顔真卿の書に学ぶ-館蔵法帖名品選-/顔真卿の遺伝子-顔法を受け継いだ人びと-

     

本館 4階・5階展示室

開催日: 2022年4月16日 - 2022年6月12日カテゴリー:

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顔真卿の書に学ぶ-館蔵法帖名品選-顔真卿の遺伝子-顔法を受け継いだ人びと-

 

顔真卿の書に学ぶ-館蔵法帖名品選-

 

【展覧会概要】

顔真卿(709~785)は中国・唐時代に生きた政治家です。特に安史の乱(755〜763)において反乱軍をおさえて大功を挙げたことで有名で、国家に対する忠義心の厚い人物として、中国史に名を残しています。

また、書の歴史においては、書聖と称される王羲之(303?~361?)とは異なる書風を唐時代に確立した人物として取り上げられます。顔真卿の書は特に宋時代(960~1279)以降に高く評価され、手本として学ばれるものになっていきました。

本展では、顔真卿の書を学ぶために制作された「法帖」を特集します。法帖とは、古今の名筆を鑑賞し手本とするため、まず原本を写し取り、次にこれを木や石に刻して、さらに拓本にとって折帖仕立てにしたものです。また、石碑から採った拓本を折帖に仕立てたものも、一般的に法帖と呼ばれます。

観峰館は約800点ほどの法帖を収蔵しており、本展ではその中から、顔真卿の法帖を中心に展示いたします。石碑に刻された楷書体や、手紙の草稿として書かれた行・草書体など、顔真卿の素朴で力強い書風をお楽しみください。さらに、顔真卿が学んだ王羲之(303?~361?)や初唐の三大家の法帖と、顔真卿に学んだ近世・近代の日本人書家による法帖も展示いたします。あわせてご覧ください。

2022年度観峰館春季平常展「顔真卿の書に学ぶ-館蔵法帖名品選-」出品作品リスト(281KB)

2022年度観峰館春季平常展「顔真卿の書に学ぶ-館蔵法帖名品選-」作品解説(4.25MB)

 

【会場】

本館4階展示室

 

【主な展示作品】

序章 顔真卿以前―書聖・王羲之と初唐の三大家―

王羲之「蘭亭序」原本:永和9年(353)

王羲之「集王聖教序」唐時代 咸亨3年(672)刻

褚遂良「雁塔聖教序」唐時代 永徴4 年(653)刻

 

本章では、顔真卿が学んだ書聖・王羲之(303?~361?)の書と、初唐の三大家と呼ばれる欧陽詢(557~641)/虞世南(558~638)/褚遂良(596~658)の書をご紹介します。

王羲之の書は中国書法史の最上位に位置付けられていますが、その真筆しんぴつは現在一点たりとも残っていないとされています。後世の人々は、搨摹本(敷き写したもの)や臨書本(見て写したもの)、あるいはそれらの拓本という複製を通して、王羲之の書を学びました。王羲之の書がまだ存在していた唐時代、これらの複製を作ることに「初唐の三大家」も関わっています。ここでは、彼らの代表作を通して、顔真卿が学んだ書について概観してみたいと思います。

 

第1章 若書きの楷書碑―「多宝塔碑」と「東方朔画賛碑」―

顔真卿「多宝塔碑」唐時代 天宝11年(752)刻

顔真卿「多宝塔碑(和刻本)」江戸時代後期

顔真卿「東方朔画賛碑」唐時代 天宝13年(754)刻

 

本章では、現存する顔真卿の作品中、若書きに位置付けられる「多宝塔碑」と「東方朔画賛碑」をご紹介します。

顔真卿の作品で、現在確認できる最も早期のものは開元29年(741)の「王琳墓誌」です。次いで、天宝8年(749)の「郭虚己墓誌銘」があります。これらはいずれも近年になって発見されたものです。「王琳墓誌」と「郭虚己墓誌銘」が発見されるまでは、顔真卿の若書きといえば「多宝塔碑」が代表的な作例でした。それに次ぐものとして「東方朔画賛碑」があります。これらの碑を法帖にしたものが観峰館の収蔵品にも含まれています。若書きから円熟味を増していく過程をご覧ください。

 

第2章 行書の法帖―「争坐位文稿」を中心に―

顔真卿「顔魯公三表真蹟」原本:唐時代 至徳2年(757)

顔真卿「争坐位文稿」原本:広徳2年(764)

顔真卿「送劉太冲序」原本:唐時代 大暦7年(772)頃

 

本章では、広徳2年(764)に書かれた抗議文の原稿「争坐位文稿」を中心に、顔真卿の行書作品についてご紹介します。

顔真卿の書は、楷書体で石碑に書かれたものが多く、これらが代表的なものとして取り上げられます。一方で、行書体で書かれた尺牘や草稿(下書き)も残されており、書を学ぶものの範となってきました。特に「争坐位文稿」に代表される草稿の書は、極めて私的な場で書かれた作品であるために、顔真卿自身の心情が表れているようです。このような飾らない書風は、特に宋時代(960~1279)の文人たちに好まれることとなりました。

素朴で力強い行書の法帖をお楽しみください。

 

第3章 楷書の法帖―顔真卿50~60代の諸作品―

顔真卿「臧懐恪碑」唐時代 広徳元年(763)

顔真卿「大字麻姑仙壇記」唐時代 大暦6年(771)刻

顔真卿「八関斎会報徳記」唐時代 大暦7年(772)刻

 

本章では、顔真卿50~60代頃に制作された楷書作品をご紹介します。この頃の顔真卿は多くの碑文を書いていますが、これらには「蔵懐恪碑」や「宋璟碑」など、現在の日本では書の手本として用いられることが少ない作品も含まれています。

一方、この頃には清時代を代表する書家の一人である何紹基(1799~1873)が好んだと言われる「麻姑仙壇記」が書かれています。当館収蔵の法帖にも、何紹基による跋文が刻されているものがあります。また、科挙の参考図書として用いられた「干禄字書」も、この時期に書かれました。これらの諸作品もまた、顔真卿の書風を様々に伝えています。顔真卿の幅広い書作をご覧ください。

 

第4章 最晩年の楷書碑―「顔勤礼碑」と「顔氏家廟碑」―

顔真卿「顔勤礼碑」唐時代 大暦14年(779)刻

顔真卿「顔氏家廟碑」唐時代 建中元年(780)刻

顔真卿「顔氏家廟碑」唐時代 建中元年(780)刻

 

本章では、顔真卿の最晩年である70代に制作された楷書碑「顔勤礼碑」と「顔氏家廟碑」を中心にご紹介します。

「顔勤礼碑」は中華民国になってから発見された碑です。顔真卿71歳の作となります。「顔氏家廟碑」は顔真卿72歳の作品で、いずれも最晩年の書風を示すものとして扱われてきました。また、これらはともに顔真卿の一族に関わる碑であるため、かなり力を込めて制作したことも想像されます。

太く力強い線によって書かれた文字はまるで、苦難の多い人生を乗り切ってきた顔真卿の剛直な人柄そのもののようです。

 

終章 顔真卿の書に学ぶ―日本人書家たちの臨書帖―

中沢雪城「臨書帖 多宝塔碑」江戸時代後期 嘉永2年(1849)

辻本史邑「臨書帖「祭伯父稿」」昭和時代

小坂奇石「臨書帖「争座位稿」」昭和時代

 

顔真卿の書は、その人柄を示すかのような素朴で力強い書風が愛好され、書法学習における手本として用いられてきました。それは中国のみならず、日本を含めた東アジア全域で行われています。

本展では最後に、観峰館の収蔵する作品から、江戸時代あるいは近代に活躍した日本人書家たちが顔真卿の書を臨書した折帖を展示します。これらの多くは、師から弟子へ、書法の技術を伝えるために書かれたものです。

歴史に名を残す書家たちも、顔真卿の書に学びました。肉筆の折帖は、先達がどのように顔真卿の書を学んできたのかを、後世の我々にも伝えてくれているのです。

 

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顔真卿の遺伝子-顔法を受け継いだ人びと-

 

【展覧会概要】

その力強い書風のみならず、剛直な人間性も評価された顔真卿(709~785)。彼に私淑した後世の人びとの書を、宋人などの拓本資料や、清朝・民国時代の肉筆作品で紹介します。

2022年度観峰館春季平常展「顔真卿の遺伝子-顔法を受け継いだ人びと-」出品作品リスト(112KB)

 

【会場】

本館5階展示室

 

【主な展示作品】※クリックで拡大します

華世奎「楷書八言対聯」中華民国21年(1932)

翁同龢「楷書八言対聯」清時代後期

銭灃「楷書軸」清時代中期 乾隆後期(1770)頃

何紹祺「臨顔真卿巻」(部分)清時代後期 道光29年(1849)

伊立勲「楷書臨多宝塔碑軸」中華民国7年(1918)

曾黙躬「楷書臨麻姑仙壇記四屏」中華民国26年(1937)

呉譲之「行書臨顔真卿争坐位帖団扇」清時代後期

郭尚先「行書文語軸」清時代中~後期

譚澤闓「行書横披」中華民国

何紹基「行書銭氏私志語横披」清時代後期

孫廷翰「楷書七言対聯」清時代末期~中華民国初期(20世紀前半頃)

戴彬元「戴虞卿先生墨蹟」清時代後期 光緒13年(1887)

 

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