一見すると、あまり特徴的ではない姿をしているが、中央が凹んだ墨堂の周囲には、無数の石紋が散りばめられている。墨堂から墨池にかけての落潮の傾斜は緩やかで、中央に糸瓜の花と実が彫られる。石質は不明であるものの、奥ゆかしさを感 […]
紫色を基調とした板硯で、表面上部には石眼(せきがん)が見られる。石眼とは、淡緑色の丸い紋様の中に芯円を持つもので、中の芯円が二重、三重とあるものは特に良質な硯石とされる。 石眼は、端渓硯の特徴の一つであり、明確な石眼を持 […]
石眼を雲間に見える太陽もしくは月と見立て、地上にはたっぷりと実の付いた草原が彫られている。その形状から、ススキもしくは稲穂を表現したものと考えられ、石眼を月と見立てると、秋の夜長の情景が思い浮かべることができよう。八角形 […]
硯縁上部に瓜の葉と実が彫られており、硯縁下部に瓜の実のヘタ部分を彫ることで、硯全体が瓜の実の形状となっている。 彫刻そのものは、お世辞にも上手くはないが、裏面には水紋が散りばめられており、新鮮な瓜の実が水をはじくような爽 […]
墨池の周囲にある光沢のある石紋が、特徴的な硯である。墨池は雲の形をしており、それに合わせて、 墨池の周囲には雲紋が彫られている。墨堂は、中央に向けてやや窪んだ形状である。 実用性を重視した大らかな彫刻から考えるに、やや古 […]
硯縁上部には、雲の中を雄大に進む龍の姿が彫られている。裏面は天然の硯石の姿をそのままとどめており、その形がまるで雲のように見え、硯縁とのつながりを想起させる。 龍の彫刻は、墨池を覆うように装飾されており、近代的な造形とい […]
硯縁部分が天然の形状をうまく利用した硯で、上部の雲紋部分が黄褐色を帯びており、雲に夕日が映る夕景の雰囲気を醸し出している。 墨潮から墨池が急な角度で傾斜していることも、特徴的である。これは、墨がたまり易いような配慮による […]
墨池を雲に見立て、雲間から五本指の龍が宝珠を吐き出そうとする姿が彫られている。所々に見える 黄色紋を稲光に見立て、そのイメージから龍の姿を 彫刻したのであろう。 小品ながら、幻想的な情景を表現した硯である。