土佐石硯

土佐硯は、その名の通り、高知県三原市で産出される硯である。その特徴は、青黒い色合いに、特殊な銅粉が含まれており、墨を擦るとうるわしい墨色が得られるという。現在も地元の地場産業として、後継者の育成に力が注がれている。

       

高田石硯

高田石は、岡山県真庭郡で産出される硯石である。気品あふれる漆黒の光沢が特徴で、重厚感がある。江戸時代中期には、歴代の藩主の代替わりに、高田石の硯が献上されたという。裏面に「高田硯 石真」と銘が有り、職人の中島石真の作であ […]

       

清滝石硯

清滝石は、京都市右京区愛宕山で産出される硯石である。その歴史は平安時代にさかのぼり、硯や砥石(といし)として利用された。砥石や人形の形をした硯は、清滝地方の土産物としても愛用されたという。現在は、職人がおらず、その硯はと […]

       

岩王寺石硯

岩王寺石の名前は、岩王寺という寺院の奥から産出した石で作った硯を、能書として著名な嵯峨天皇(さがてんのう)が愛用したことに由来する。現在は、ほとんど産出されないという。嵯峨天皇が絶賛し、和硯の中で並ぶものがないとまで称し […]

       

那智黒石硯

那智黒石は、三重県熊野市神川町で産出され、自然の状態、つまり「天然硯」が多く、この作品の硯縁部分も、自然の状態を保ち、優美である。墨堂部分とのコントラストがとても美しい。また石質は緻密で、適度な硬度が特徴とされ、現在も人 […]

       

雄勝玄昌硯

雄勝石は、宮城県石巻市雄勝町より産出され、玄昌石とも呼ばれている。石色は黒色で光沢のある硬質粘板岩から彫り上げられる。文献によれば、江戸前期に伊達政宗に献上されており、また昭和30年代には、年間で約300万個を生産する、 […]

       

紫雲石硯

紫雲石は、岩手県一関市で産出される硯石である。その特徴は、全体が小豆色で雲状の斑紋があり、中には緑色の円形斑点の入ったものもある。薄い紙状の層が入っているが、容易には剥離せず、硯材として最適である。鋒鋩もとてもきめ細かく […]

       

紅渓石硯

紅渓石は、宮崎県東臼杵郡で産出される硯で、その色合いと、端渓硯と比べても遜色ない石質から、その名前が付いた。鋒鋩がきめ細かく、良い墨色に擦れるという。 裏面には「三代目 羊堂作」の銘があり、職人・相馬羊堂氏の作によるもの […]

       

若田石硯

若田石は、長崎県対馬市で産出されるもので、紫式部(生卒年不詳)が『源氏物語』の執筆時に愛用したという。漆黒の自然美が特徴である。江戸時代初期の儒学者・林羅山(1583~1657)が、中国の端溪硯に匹敵する出来として高く評 […]

       

龍渓石硯

龍渓石は、長野県上伊那郡で産出され、天竜川水系で取れる石材から作られているため、その名前が付いた。この作品にあるように、硯側部分が黄褐色の色合いの硯も多く、味わい深いものである。 裏面に「龍渓 翠川刀」の銘があり、職人の […]

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